Clásicos japoneses con furigana
ja-reading.com
Lee clásicos japoneses en línea con furigana. Filtra por nivel JLPT, toca una palabra para ver el significado y traduce una frase.
おんしつのこい
温室の恋
国枝 史郎
Lee 温室の恋 (おんしつのこい) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 11.010 caracteres · 22 pantallas
それから三日目のことでしたが最う九分通り出来上がっていたので、其日は何んと無く心嬉しく仕上げの筆を下していますと、宮越の方から蹄の音がさも軽快に聞えて来ましたが、私の恰度背後まで来ると不図止まったのでございます。そうして直ぐ女の声で斯う云っているのが聞えて来ました。
「感の宜い絵じゃありませんか。何んて深味のある緑色でしょうね……貴郎も矢っ張りそう思われて?」
するとだらけ切った男の声が斯う答えるのが聞えて来ました。
「左様左様、よい絵ですなあ……尤も私には絵の事なんか実はてんで解らないのですがね。貴女がよいと有仰るのですもの好い絵で無くて何うしましょう」
「まあ何んて変な云い方でしょうね。酒井さんたら可笑しな方ね……私この絵が気に入りました。初々しい所が素敵ですわ」
「全く、初々しい所が素敵ですなあ」
「黙っていらっしゃいよ莫迦らしい……何んにも解かってもいない癖に」
「それでは沈黙しましょうかね。何も彼も貴女の御意のままです」
男の声は斯う云ってから如何にも人が好さそうに大きな笑いを破裂させました。私は五月蝿く思い乍らも何うすることも出来ませんので黙って絵筆ばかりを動かしている中に、どうやら斯うやら其風景画は完全り出来上って了いました。