Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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ぼんのうひぶんしょ

煩悩秘文書

林 不忘

Lee 煩悩秘文書 (ぼんのうひぶんしょ) de 林 不忘 (はやしふぼう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 86.705 caracteres · 173 pantallas

Aozora Bunko

出羽の煩悩の血に満足して、煩悩の女髪、刀を離れたのだ。

あとで、その出羽の死顔から頭巾を外して見ると、彼の顔には恐ろしい刀痕が十字に刻まれていた。これは、小信に傷つけられた時のあとで、彼女が傷を負わしたのは、背中にだけではなかったので、出羽はそれを隠して、その時から弥四郎頭巾を被り、疵を癒しに、あの阿弥陀沢の猿の湯へ湯治に行ったのだったが――。この出羽守の疵痕が、大次郎の疵あとと寸分も違わなかったのは、これこそ恐ろしい煩悩の因縁と言うべきであろうか。

かくして、煩悩は無に帰し、三人はここに、名誉、金、女色の三煩悩を解いた。

大次郎と千浪は、小信を劬わって、また江戸への旅に――。

佐吉と由公は、煩悩小僧の罪滅ぼしに四国巡礼へ――。

宗七とお多喜は、中仙道を廻って、これも江戸への恋慕流しの夫婦旅。

その三方へ別れる追分で、佐吉が背後に両手を廻して、宗七の前に頭を下げながら、

「約束だ、縛ってくんねえ。」

「何を言ってるんだ。江戸じゃあ煩悩小僧かもしれねえが、これからは四国詣での巡礼さん――それに、この宗七も、もう十手を持つ手はねえ。元気でお札所を廻って来なよ。