Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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ぼんのうひぶんしょ

煩悩秘文書

林 不忘

Lee 煩悩秘文書 (ぼんのうひぶんしょ) de 林 不忘 (はやしふぼう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 86.705 caracteres · 173 pantallas

Aozora Bunko

山の湯宿の夜ふけ――。

恋する男の身に纏わる悲惨事に、千浪は、現在のできごとのように眉をひめて、

「初めて承わるお痛わしいおはなし、なんとも申しあげようがございません。村の方々をはじめ大次郎さまも、さぞ、さぞ口惜しく思召して――。」

大次郎の面上、いつしか蒼白なものが漲っていた。

「今だからお話いたしますが、祖父江の殿様のやり口というものは、それは、それはひどいものでござりました。猟場とはいえ、人の住む村を、たんにおのが遊びの庭とのみ心得て――法外先生っ! 千浪さま! 言わしていただきます。かの祖父江出羽守は、きゃつ、人間ではござりませぬぞ。鬼畜!――人外でござる!」

膝を掴む大次郎の手が、悲憤の思い出にわなわなと打ちふるえるのを、法外は温みの罩もった、だが、きっとした低声で、

「これ、大次、口をつつしめ!」

「お言葉ではございますが、しかし――。」

「わかっておる。それに相違ないが、なあ伴、山役人は、あれで仲なか耳が早いでな、よいか。あっはっは。」

大次郎、なみだを持った眼を伏せて、

「は。ちと、ことばがすぎましたようで。」

「いや、なに、そちの申すとおりではあるが、そこがそれ、下世話にもいう、壁に耳あり障子に眼ありでな――。