Clásicos japoneses con furigana
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ぼんのうひぶんしょ
煩悩秘文書
林 不忘
Lee 煩悩秘文書 (ぼんのうひぶんしょ) de 林 不忘 (はやしふぼう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 86.705 caracteres · 173 pantallas
」
谷へ下りる番傘
変に陰惨な声で、だしぬけに無礼なことを言うやつがあるので、法外は、思わずきっとなって、はしご段の中途に立ちどまった。
「お父さま、どうぞ相手にならずに。」
千浪は、二、三段下から、必死に懇願して、押し上げるような手つきをする。
じろっ! と、階下の座敷を白眼み下ろしたまま、法外先生は無言である。
柿色割羽織の袖を、ぽんと、うしろへ撥ねて、悠然と梯子段を上りきった。
逃げるようにつづいて、千浪が小刻みに駈け上る。
戸外は、盥の水を叩きつけるよう、轟っ! と地を鳴り響かせて降りしきる山の豪雨である。まっ黒な風が横ざまに渦巻いて、百千の槍の穂尖を投げるような、太い、白く光る雨あし。
三国ヶ嶽のお山荒れは、とうとう本物になりそう。
「馬鹿め!」
吐き出すように言って、出羽守は起ち上った。
川島与七郎が、
「のう、殿――。」
「与七! 殿とは禁句のはずじゃぞ。何じゃ。」
「あ、さようでございましたな。しかし、物も言わずに、ずいと上ってしまうとは、きゃつ、年寄り甲斐もない無礼なやつ!」
誰かが傍から口を合わせて、
「なんでも、江戸の武芸者だとかいうことだが。