Clásicos japoneses con furigana
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ちちかえる
父帰る
菊池 寛
Lee 父帰る (ちちかえる) de 菊池 寛 (きくちかん) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 7615 caracteres · 16 pantallas
人物
黒田賢一郎 二十八歳
その弟 新二郎 二十三歳
その妹 おたね 二十歳
彼らの母 おたか 五十一歳
彼らの父 宗太郎
時
明治四十年頃
所
南海道の海岸にある小都会
情景 中流階級のつつましやかな家、六畳の間、正面に箪笥があって、その上に目覚時計が置いてある。前に長火鉢あり、薬缶から湯気が立っている。卓子台が出してある。賢一郎、役所から帰って和服に着替えたばかりと見え、寛いで新聞を読んでいる。母のおたかが縫物をしている。午後七時に近く戸外は闇し、十月の初め。
賢一郎 おたあさん、おたねはどこへ行ったの。
母 仕立物を届けに行った。
賢一郎 まだ仕立物をしとるの。もう人の家の仕事やこし、せんでもええのに。
母 そうやけど嫁入りの時に、一枚でも余計ええ着物を持って行きたいのだろうわい。
賢一郎 (新聞の裏を返しながら)この間いうとった口はどうなったの。
母 たねが、ちいと相手が気に入らんのだろうわい。向こうはくれくれいうてせがんどったんやけれどものう。
賢一郎 財産があるという人やけに、ええ口やがなあ。
母 けんど、一万や、二万の財産は使い出したら何の役にもたたんけえな。