Clásicos japoneses con furigana
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ろうしつき
狼疾記
Lee 狼疾記 (ろうしつき) de Nakajima Atsushi (中島 敦) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 23.540 caracteres · 47 pantallas
上に出て来るものであろうと、――に生れて来ることも可能だったのではないか? その正体が解らない故に我々が恐怖の感情を以て偶然と呼んでいるものが、ほんのちょっとその動き方を変えさえしたなら、そのような事が自分に起らなかったと誰が言えよう。そして、もしも自分がそのような存在に生れていたとすれば、今の自分には見ることも聞くことも、ないしは考えることも出来ないような・あらゆる事を見、聞き、考えることが出来たであろう。」こう考えるのは彼にとって堪えがたく恐ろしいことであった。と同時に、堪えがたくいらだたしいものでもあった。この世には自分に見ることも聞くことも考えることも(経験的にではなく能力上)出来ないものが有り得る。自分が違った存在であったら考えることが出来たであろうことを、自分が今の存在であるばかりに考えることも出来ぬ。こう考えて来ると、漠とした不安の中にありながら、なお当時の三造は、一種の屈辱に似たものを覚えるのであった。
スクリインでは先刻の踊の場面が消えて密林の風景にかわっている。手と尾との長い真黒な猿が幾匹となく枝から枝へと跳渡っている。ひょいと立止って此方を見た・その猿の一匹は、眼の縁に白い輪がかかっていて、眼鏡をかけているように見える。