Clásicos japoneses con furigana
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ねことしょうぞうとふたりのおんな
猫と庄造と二人のおんな
谷崎 潤一郎
Lee 猫と庄造と二人のおんな (ねことしょうぞうとふたりのおんな) de 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 68.020 caracteres · 131 pantallas
品子は夜な夜な、湯たんぽの温もりと猫の活気とでぽかぽかしている寝床の中で、あのゴロゴロ云う音を聞きながら、自分のふところの中にいる獣の耳へ口を寄せて、
「お前の方がわてよりよっぽど人情があってんなあ。」
と云ってみたり、
「わてのお蔭で、お前にまでこんな淋しい思いさして、堪忍なあ。」
と云ってみたり、
「けどもう直きやで。もうちょっと辛抱しててくれたら、わてと一緒に蘆屋の家へ帰れるようになるねんで。そしたら今度と云う今度は、三人仲よう暮らそうなあ。」
と云ってみたりして、ひとりでに涙が湧いて来ると、夜更けの、真っ暗な部屋の中で、リリーより外には誰に見られる訳でもないのに、慌てて掛け布団をすっぽり被ってしまうのであった。
福子が午後の四時過ぎに、今津の実家へ行って来ると云って出かけてしまうと、それまで奥の縁側で蘭の鉢をいじくっていた庄造は、待ち構えていたように立ち上って、
「お母さん」
と、勝手口へ声をかけたが、洗濯をしている母親には、水の音が邪魔になって聞えないらしいので、
「お母さん」
と、もう一度声を張り上げて云った。
「店を頼むで。―――ちょっと其処まで行って来るよってになあ。