Clásicos japoneses con furigana
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たばたにっき
田端日記
Lee 田端日記 (たばたにっき) de Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 4435 caracteres · 9 pantallas
すると、向うの家の二階で、何だか楽器を弾き出した。始はマンドリンかと思ったが、中ごろから、赤木があれは琴だと道破した。僕は琴にしたくなかったから、いや二絃琴だよと異を樹てた。しばらくは琴だ二絃琴だと云って、喧嘩していたが、その中に楽器の音がぴったりしなくなった。今になって考えて見ると、どうもあれはこっちの議論が、向うの人に聞えたのに相違ない。そう思うと、僕はいいが、赤木は向う同志と云う関係上、もっと恐縮して然るべき筈である。
帰りに池の端から電車へ乗ったら、左の奥歯が少し痛み出した。舌をやってみると、ぐらぐら動くやつが一本ある。どうも赤木の雄弁に少し祟られたらしい。
三十日
朝起きたら、歯の痛みが昨夜よりひどくなった。鏡に向って見ると、左の頬が大分腫れている。いびつになった顔は、確にあまり体裁の好いものじゃない。そこで右の頬をふくらせたら、平均がとれるだろうと思って、そっちへ舌をやって見たが、やっぱり顔は左の方へゆがんでいる。少くとも今日一日、こんな顔をしているのかと思ったら、甚不平な気がして来た。
ところが飯を食って、本郷の歯医者へ行ったら、いきなり奥歯を一本ぬかれたのには驚いた。