Clásicos japoneses con furigana
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うみがめ
異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二
岡本 綺堂
Lee 異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二 (うみがめ) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 144.507 caracteres · 291 pantallas
「きょうは随分お寒うござんしたね。」と、伊佐子さんは言いました。平生から蒼白い顔のいよいよ蒼ざめているのが、わたしの眼につきました。
「ええ、今からこんなに寒くなっちゃやりきれません。」
いつもは膳と飯櫃を置いて、すぐに立ちさる伊佐子さんが、今夜は入口に立て膝をしたままで又話しかけました。
「須田さん。あなたはゆうべ、山岸さんと一緒にお帰りでしたね。」
「ええ。」と、わたしは少しあいまいに答えました。この場合、伊佐子さんから山岸のことを何か聞かれては困ると思ったからです。
「山岸さんは何かあなたに話しましたか。」と、果して伊佐子さんは訊きはじめました。
「何かとは……。どんな事です。」
「でも、この頃は山岸さんのお国からたびたび電報がくるんですよ。今月になっても、一週間ばかりのうちに三度も電報が来ました。そのあいだに郵便も来ました。」
「そうですか。」と、私はなんにも知らないような顔をしていました。
「それには何か、事情があるんだろうと思われますが……。あなたはなんにもご承知ありませんか。」
「知りません。」
「山岸さんはゆうべなんにも話しませんでしたか。わたしの推量では、山岸さんはもうお国の方へ帰ってしまうんじゃないかと思うんですが……。