Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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ちじんのあい

痴人の愛

谷崎 潤一郎

Lee 痴人の愛 (ちじんのあい) de 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 179.399 caracteres · 353 pantallas

Aozora Bunko

………」

そう云いかけて、私は調子を和げて、なだめるように説き聞かせました。

「ねえ、ナオミ、僕はほんとうの気持を云うと、今でもやっぱりお前に贅沢をさせたいんだよ。着物ばかりの贅沢でなく、家も相当の家に住まって、お前の生活全体を、もっと立派な奥さんらしく向上させてやりたいんだよ。だからなんにも不平を云うところはないじゃないか」

「そうお、そりゃどうも有りがと、………」

「何なら明日、僕と一緒に借家を捜しに行ったらどうだね。此処よりもっと間数があって、お前の気に入った家でさえありゃ何処でもいいんだ」

「それならあたし、西洋館にして頂戴、日本の家は真っ平御免よ。―――」

私が返辞に困っている間に、「それ見たことか」と云う顔つきで、ナオミは噛んで吐き出すように云うのでした。

「女中もあたし、浅草の家へ頼みますから、そんな田舎の山出しなんか断って頂戴、あたしが使う女中なんだから」

こう云ういさかいが度重なるに従って、二人の間の低気圧はだんだん濃くなって行きました。そして一日口をきかないようなことも屡でしたが、それが最後に爆発したのは、ちょうど鎌倉を引き払ってから二箇月の後、十一月の初旬のことで、ナオミが未だに熊谷と関係を断っていないと云う動かぬ証拠を、私が発見した時でした。