Clásicos japoneses con furigana
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はくもくれん
白木蓮
豊島 与志雄
Lee 白木蓮 (はくもくれん) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 12.039 caracteres · 24 pantallas
肉体の関係は当人同士の自由だが、旦那持ちの芸者の家への出入は道義に反する。
彼女の死は、その道義の関を開いてくれた。私は何の逡巡もなしに、彼女の家の敷居をまたぎ、彼女に別れに行ったが、そこにはもう彼女の肉体は見出せなかった。ただ彼女が、いや彼女の顔があった。白布に覆われたその顔の近くに、白木蓮の花があった。私はその花を眺め、それが心にしみこんだ。そしてはじめて、涙が眼にたまってきた。
節太い枝先にぽかっと出てる、大きな六花弁の白い花、やさしく訴えるような香り、それが、なにかしら淋しいのだ。――じっと見ていると、桃代によりも寧ろ、喜美子に通うものがある。
喜美子は加津美で、仲居ともつかず、養女ともつかずわりに気儘な立場にいる。十七八歳の体躯で、痩せ型の方で、色の白い顔は、肉附きも皮膚も薄い感じがして、清楚でそして淋しい。口を利く時、笑う時、長めの小さな糸切歯が唇から覗き出して、特別に可愛く見える。その全体が、へんに頼りないのだ。――私はいつも、彼女からへんな印象を受ける。このひとは、たいへん不幸な目に逢うことになるかも知れない。長い病気にかかることになるかも知れない。