Clásicos japoneses con furigana
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かぐらざか
神楽坂
矢田 津世子
Lee 神楽坂 (かぐらざか) de 矢田 津世子 (やだつせこ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 19.611 caracteres · 40 pantallas
爺さんが拝んでいる間、お初はさっきの雀がどうなったかしら、と頸をかしげて卒塔婆の方をみている。風に胸毛を白く割られた雀は卒塔婆のてっぺんに停って、きょとんとしている。
お詣りがすんで、墓地の小径をひきかえしながらお初が、
「ねえ、父うさん」と話しかけた。
「何んだい」とマスクの顔が振りかえった。お初は何やらためらっていたが、
「いいえ、何んでもないの。きょうはとてもお寒いのね」と云った。
「そうだなあ。どこかで熱いものでも食べていこう」
「あら、御馳走して下さるの。そんならね、川鉄の鳥鍋がいいわ」
マスクの顔が振りかえった。
「莫迦が! きょうでやっと百ヶ日だというに、何んで俺が鳥を食う……」
こう呶鳴っておいて爺さんはとっとと歩いていった。爺さんが呶鳴ったのには、自分の精進が忘れられている、ということよりもお初の贅沢心に急に肚が立ったからである。だから、あんな女は家へはいれられないというのだ。爺さんの白足袋はせかせかと歩いていく。亡くなった内儀さんのことが思い出される。種がいとしまれる。ふと、爺さんは、種を養女にしたらどんなものだろう、と思いついて、
「これあ、存外莫迦にならない話だわい」