Clásicos japoneses con furigana
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しほんたいへいき
私本太平記(三)
吉川 英治
Lee 私本太平記(三) (しほんたいへいき) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 222.108 caracteres · 446 pantallas
居候のクセにして」
「ぬかしたな」
婆はすばやくどこかへ隠れた。そして婆を追ッかけようとした命松丸は、釜屋の土間の入口で、内からバッと水柄杓か何かでしたたかに、水をぶッかけられていた。
兼好は腹をかかえて笑った。しかし結果を見ようとはしない。もう渡舟場に近い裏門を出て、先に川原の方へ降りて行った。命松丸がよく自由自在に雀を飼うごとく、彼と命松丸との関係もそれに似ている。
しかしである。あの釜屋働きの婆が、ややもすれば、悪たれつくのもむりはない。
ここの院主との旧縁で、ふと去年の暮から懸人となって来たが、自分は、何の寺役を持つでもなし、命松丸ときては、あのとおり口達者で、悪戯ざかりだ。おまけに持病の夜尿症では、朝々、婆の鼻を抓ませてばかりいる。
「都も少しはおちついたろう。そろそろ、古巣の吉田山へ帰ろうか」
この日頃は、思案していたところである。そこへ思いがけなく、流人の宮と、警固の一行の泊りに会したわけだった。
兼好が夙に、宗良親王を存じ上げていたのは、所謂なきではない。――彼が後宇多院に仕えていたころは、宮もまだお稚ない皇子だったが、やがて妙法院へ入られ、叡山の座主につかれた後も、歌の会などでは、しばしばお目にかかっていた。