Clásicos japoneses con furigana
ja-reading.com
Lee clásicos japoneses en línea con furigana. Filtra por nivel JLPT, toca una palabra para ver el significado y traduce una frase.
たちがれ
立枯れ
豊島 与志雄
Lee 立枯れ (たちがれ) de 豊島 与志雄 (とよしまよしお) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 20.613 caracteres · 41 pantallas
影のようなものが、中江の心に残った。初めはすっと刷毛でひいたようなそいつが、次第に大きく拡がっていって、中江からキミ子の姿を奪っていった……。
彼は、思い出したように、島村に電話をかけてみた。不在だった。で彼も、何ということなく外に出た。
吉松の一室に落付いた中江は、もう少し酔っていたし、酔ったふりも多少はあった。
「島村君、来ていないんですか。おかしいなあ……。」
脇息にもたれて、うっとりとした眼付をして、撮み物には箸をつけず、程よく盃をあけてる彼は、どう見ても好紳士だったが、ただ、小肥りの身体と、艶のいい長い髪の毛とに拘らず、眼の光が変に浮いていた。その眼が、眼鏡の奥にじっと見据えられると、神経質な不機嫌さを示すのだった。
「あら一人?」
やって来た静葉が、そう云った時、中江の眼はその不機嫌さを示した。そうのめのめと失望するものじゃないなどと、冗談口を利きながら、彼はじろじろ静葉の様子を――髪形や襟や着物や帯などを、眺めていたが、やがて、ふいに、真剣な調子になって、君は本気で島村君が好きなのかと、だしぬけに尋ねだしたあげく、島村君をいい加減にだますようだったら承知しないぞと、いやに真面目なのだった。