Clásicos japoneses con furigana
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えんようき
艶妖記
山本 周五郎
Lee 艶妖記 (えんようき) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 18.761 caracteres · 38 pantallas
「そんな馬鹿なことが」
「まったくそんな馬鹿なことが」
「わかりました、――」
嬢はこう云って八百助を見た、「おまえの云うことが根も葉もない証拠は、こうして村人たちが証明するだけで充分でしょう、それとも動かない証文でもあるとお云いか、あるなら出して見せるがよいどうじゃ」うまいぞおせん出来した権右衛門は感嘆のあまりこう叫びかけた、そのためにまずぴしゃりと膝を打ったくらいである。だがそのときから八百助が口を切った、
「――村の方がた」
彼は客たちをぐるっと眺めて、
「おまえさん方の中にも、ずいぶんこの家の主じに煮え湯を飲まされた人がいるはずだ、そして私たち親子がどんなめにあったかも知っているだろう、だがこれで事が落ち着くと思ってはいけませんよ、落ち着くどころか、なにもかもこれから始まるんだ、なにもかもですよ」
そしておせん嬢のほうへ振り向いた、
「――お嬢さん、私の思い違いであなたの名前を呼び捨てにしたり、自分の嫁だなんぞと云ってすみませんでしたね、思い違いということがはっきりしたから私はこれで帰ります、しかし一つだけ断わっておきますがね、こんな根も葉もない契約を持ち出すのは、本当のところ私ではなくあなたのはずなんですよ」