Clásicos japoneses con furigana
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あぢさい
花火・来訪者 他十一篇
永井 荷風
Lee 花火・来訪者 他十一篇 (あぢさい) de 永井 荷風 (ながいかふう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 52.046 caracteres · 104 pantallas
帰りか何かに立寄ってくれるのを、この世のかぎりの楽しみにして、待ち焦れていました。尤も表向は手が切れた事になったんで、中に人もはいり、師匠の方も詫が叶い、元通り稽古を始めましたから、食う道はつくようになりました。
お君はその後二、三度尋ねて来て、わたしが気をもむのもかまわず、或晩とまって、翌朝もお午頃まで居てくれた事がありましたが、それなりけり。一月たち二月たち、三の酉も過ぎて、いつか浅草に年の市が立つ頃になってもたよりが有りません。忘れもしない。その年十二月二十日の夕方、思いがけない大雪で、兜町の贔屓先へ出稽古に行った帰り道、寒さしのぎに一杯やり、新大橋から川蒸汽で家へ帰ろうと思いながら、雪の景色に気が変り、ふらふらと行く気もなく竈河岸の房花家をたずねますと、小園を入れて三人いる筈の抱はもう座敷へ行ったと見えて、一人もいない。亭主もいなければ女房同様の姉さんの姿も見えず、長火鉢の向に二重廻を着たまま煙草をのんでいるのは、お君の小園をここの家へ入れた周旋屋の山崎という四十年輩の男。その節顔は見知っているので、
「その後は。」と此方から挨拶すると、周旋屋は猫を追いのけ、主人らしく座蒲団をすすめて、