Clásicos japoneses con furigana
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よしとししゃせいちょう
芳年写生帖
野村 胡堂
Lee 芳年写生帖 (よしとししゃせいちょう) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 12.626 caracteres · 26 pantallas
お浜の調子の邪念の無さ。
「それが何うしたと言うのだえ?」
ツイ釣られるともなく、およつも縁先へ泳ぎ出しました。
「だって、ツイ先刻、田圃で彰義隊の落武者が捕まって、斬ったとか斬られたとか、大変な騒をしたようだから、此方に何んか変りが無きゃ宜いと思って――」
お浜の調子のさり気ない滑らかさは、およつに取っては、此上もない威嚇でした。が、――あんなに用心深い支度をして行った欽さんに、万に一つ間違いなどある筈もありません。あの人が訴人するか、屯所へ引渡したのなら別だけれど、あんな臆病者に、そんなことが出来る筈も無し――盛上って来る恐怖を、無理にも押付けて、およつは乾く唇を噛みました。
「彰義隊の落武者? そんな者に掛り合いは無いよ。余計なお節介をするより、さっさと自分の家へ帰って、内職の楊枝でも拵えるが宜い、馬鹿馬鹿しい」
「そんなら宜いけれど――」
お浜は煮え切らぬ事を言い乍ら、臆病な狐のように、振り返り振り返り帰って行きます。
「畜生ッ、何んて嫌な奴だろう」
およつは縁側から引込みました。
が、その時丁度、格子を開けて、何時になく、ノソリと入って来た、大蘇芳年の蒼い顔と、眼を外しようもなく、ハタと逢ってしまったのです。