Clásicos japoneses con furigana
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しょうたく
荷風随筆集(下)〔全2冊〕
永井 荷風
Lee 荷風随筆集(下)〔全2冊〕 (しょうたく) de 永井 荷風 (ながいかふう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 36.633 caracteres · 74 pantallas
昭和の日本人は秋晴れの日、山に遊ぶことを言うにハイキングとやら称する亜米利加語を用いているが、わたくしの如き頑民に言わせると、古来慣用せられた登高の一語で足りている。
その年陰暦九月十三夜が陽暦のいつの日に当っていたか、わたくしは記憶していない。しかしたまたまこの稿を草するに当って、思い出したのは或夜父が晩餐の後、その書斎で雑談しておられた時、今夜は十三夜だと言って、即興の詩一篇を示された事である。その詩は父の遺稿に、
蘆花如雪雁声寒 〔蘆花は雪の如く 雁の声は寒し
把酒南楼夜欲残 南楼に酒を把り 夜残らんと欲す
四口一家固是客 四口の一家は固より是れ客なり
天涯倶見月団欒 天涯に倶に見る月も団欒す〕
としている。
わたくしはこのまま長く上海に留って、適当な学校を見つけて就学したいと思った。東京に帰ればやがて徴兵検査も受けなければならず。また高等学校にでも入学すれば柔術や何かをやらなければならない。わたくしにはそれが何よりもいやでならなかったのである。しかしわたくしの望みは許されなかった。そしてその年の冬、母の帰京すると共に、わたくしもまた船に乗った。