Clásicos japoneses con furigana
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おちばいき
落ち梅記
山本 周五郎
Lee 落ち梅記 (おちばいき) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 30.748 caracteres · 61 pantallas
いってみると、柳井というのは明らかにそういう家のひとつだった。
案内されたのは長い廊下をつき当った端の部屋であった。とりまわした庭も悪く凝ったものだし、部屋の飾りつけもけばけばしく安手である。半三郎は酒肴の膳を前に、着ながしのままあぐらをかいて飲んでいた。もうかなり酔っているようだった。
「よう、次席家老、兼、お側御用人の御光来だな、失敬だがこっちは無礼講にして貰うぞ」
半三郎は嘲弄するようにこう云った。蒼ざめて皮膚のたるんだ不健康な顔に、眼だけが毒のある光りを帯びていた。あのときからみると十年もとしをとったようである、金之助はさりげない会釈をして、自分のために設けたと思える膳の前へ坐った。
「明日うちへ来るという伝言を聞いたよ、おれのほうでも会いたかったんだ、しかしお側御用人のお屋敷は閾が高いんでね、――そっちにはまたこんな家は汚らわしいだろうが、まあ久しぶりだ、一杯いこう」
「今日は少しまじめな話があるんだ」
盃を受けてから金之助がこう云った。半三郎は唇を歪め、挑むような姿勢で冷笑した。
「まじめ結構だね、よろしいこっちもまじめでいこう、人間万事まじめでなくっちゃあいけない、そこでもう一杯、まじめに献じよう」