Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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うすこうばい

薄紅梅

泉 鏡花

Lee 薄紅梅 (うすこうばい) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 61.133 caracteres · 122 pantallas

Aozora Bunko

「祖母さん……」

なき父、なき母。

「私は決してお京さんに。……ただただ、青大将の女房にはしたくないんです。」

と、きちんと両手をついたかと思えば、すぐに引りそうな手を、そのまま宙に振って、また飛上って、河童に被った杯をたたいた。

「でんでん虫、虫。雨も風も吹かンのんに、でんでん虫、虫……」

と、狂言舞に、無性矢鱈に刎歩行く。

のそのそ、のそのそ、一面の南瓜の蔭から這出したものは蝦蟇である。とにかく、地借の輩だし、妻なしが、友だち附合の義理もあり、かたがた、埴生の小屋の貧旦那が、今の若さに気が違ったのじゃあるまいか。狂い方も、蛞蝓だとペロリと呑みたくなって危いが、蝸牛なら仔細あるまい、見舞おうと、おのおの鹿爪らしく憂慮気に、中には――時々の事――縁へ這上ったのもあって、まじまじと見て面を並べている。

ここに不思議な事は、結びも、留めもしない、朱塗の梅の杯が気狂舞に跳ねても飛んでも、辷らず、転らず、頭から落ちようとしないので。……ふと心附いて、蟇のごとく跼んで、手もて取って引く、女の黒髪が一筋、糸底を巻いて、耳から額へ細りと、頬にさえ掛っている。

猛然として、藍染川、忍川、不忍の池の雪を思出すと、思わず震える指で、毛筋を引けば、手繰れば、扱けば、するすると伸び、伸びつつ、長く美しく、黒く艶やかに、芬と薫って、