Clásicos japoneses con furigana
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あざみ
薊
山本 周五郎
Lee 薊 (あざみ) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 15.800 caracteres · 32 pantallas
「山岸のしづさんです」
「山岸とはどの山岸だ」
「御納戸奉行の山岸平左衛門さまで、しづさんはその御妻女、わたくしの昔からの親しいお友達です」
「それがどうして逃げた」
「逃げたのではございません」とゆきをはきつい口ぶりで云った、「あなたが断わりもなしにはいっていらっしゃるので、ただ座を外しただけですわ」
彼はじっと妻のようすを見た、「茶会ではないようだな」
「ええ」と云って起き直ろうとしたが、ゆきをは眉をしかめて呻き、苦しそうにまた横になりながら云った、「五人集まる筈でしたけれど、四人に故障ができましたそうで、わたくしとしづさんだけでしたから、茶会はやめにし、二人で食事をして帰るつもりでした」
そして、話をしているうちに、持病の胃痛が起こったため、いままでしづさんに押えていてもらったのだ、とゆきをは云った。銕太郎はそのとき初めて、妻が下着だけで横になっていること、小袖や帯などが、隅の暗がりにぬいであることを認めた。
「急用とはなんでございますか」ゆきをはだるそうな声で訊いた。
「帰ってからにしよう」
「まだ痛みがおさまりませんし、しづさんを置いてゆくわけにはまいりません」