Clásicos japoneses con furigana
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ぐびじんそう
虞美人草
Lee 虞美人草 (ぐびじんそう) de Natsume Sōseki (夏目 漱石) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 198.559 caracteres · 401 pantallas
「皮肉なら好いけれども、時々気の知れない囈語を云うにゃ困るじゃないか。何でもこの頃は様子が少し変だよ」
「あれが哲学なんでしょう」
「哲学だか何だか知らないけれども。――さっき何か云ったかい」
「ええまた時計の事を……」
「返せって云うのかい。一にやろうがやるまいが余計な御世話じゃないか」
「今どっかへ出掛けたでしょう」
「どこへ行ったんだろう」
「きっと宗近へ行ったんですよ」
対話がここまで進んだ時、小野さんがいらっしゃいましたと下女が両手をつかえる。母は自分の部屋へ引き取った。
椽側を曲って母の影が障子のうちに消えたとき、小野さんは内玄関の方から、茶の間の横を通って、次の六畳を、廊下へ廻らず抜けて来る。
磬を打って入室相見の時、足音を聞いただけで、公案の工夫が出来たか、出来ないか、手に取るようにわかるものじゃと云った和尚がある。気の引けるときは歩き方にも現われる。獣にさえ屠所のあゆみと云う諺がある。参禅の衲子に限った現象とは認められぬ。応用は才人小野さんの上にも利く。小野さんは常から世の中に気兼をし過ぎる。今日は一入変である。落人は戦ぐ芒に安からず、小野さんは軽く踏む青畳に、そと落す靴足袋の黒き爪先に憚り気を置いて這入って来た。