Clásicos japoneses con furigana
ja-reading.com
Lee clásicos japoneses en línea con furigana. Filtra por nivel JLPT, toca una palabra para ver el significado y traduce una frase.
ぐびじんそう
虞美人草
Lee 虞美人草 (ぐびじんそう) de Natsume Sōseki (夏目 漱石) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 198.559 caracteres · 401 pantallas
いつもなら通りへ出ると、すぐ西洋料理へでも飛び込む料簡で、得意な襞の正しい洋袴を、誇り顔に運ぶはずである。今宵はいつまで立っても腹も減らない。牛乳さえ飲む気にならん。陽気は暖か過ぎる。胃は重い。引く足は千鳥にはならんが、確と踏答えがないような心持である。そと卸すせいかも知れぬ。さればとて、こつりと大地へ当てる気にはならん。巡査のようにあるけたなら世に朧は要らぬ。次に心配は要らぬ。巡査だから、ああも歩ける。小野さんには――ことに今夜の小野さんには――巡査の真似は出来ない。
なぜこう気が弱いだろう――小野さんは考えながら、ふらふら歩いている。――なぜこう気が弱いだろう。頭脳も人には負けぬ。学問も級友の倍はある。挙止動作から衣服の着こなし方に至って、ことごとく粋を尽くしていると自信している。ただ気が弱い。気が弱いために損をする。損をするだけならいいが乗っ引きならぬ羽目に陥る。水に溺れるものは水を蹴ると何かの本にあった。背に腹は替えられぬ今の場合、と諦めて蹴ってしまえばそれまでである。が……
女の話し声がする。人影は二つ、路の向う側をこちらへ近づいて来る。