Clásicos japoneses con furigana
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ぐびじんそう
虞美人草
Lee 虞美人草 (ぐびじんそう) de Natsume Sōseki (夏目 漱石) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 198.559 caracteres · 401 pantallas
「僕も覚えている。――ことによると今頃は藤尾が取ってまた玩具にしているかも知れないが……」
「藤尾さんとあの時計はとうてい離せないか。ハハハハなに構わない、それでも貰おう」
甲野さんは、だまって宗近君の眉の間を、長い事見ていた。御昼の膳の上には宗近君の予言通り鱧が出た。
四
甲野さんの日記の一筋に云う。
「色を見るものは形を見ず、形を見るものは質を見ず」
小野さんは色を見て世を暮らす男である。
甲野さんの日記の一筋にまた云う。
「生死因縁無了期、色相世界現狂癡」
小野さんは色相世界に住する男である。
小野さんは暗い所に生れた。ある人は私生児だとさえ云う。筒袖を着て学校へ通う時から友達に苛められていた。行く所で犬に吠えられた。父は死んだ。外で辛い目に遇った小野さんは帰る家が無くなった。やむなく人の世話になる。
水底の藻は、暗い所に漂うて、白帆行く岸辺に日のあたる事を知らぬ。右に揺こうが、左りに靡こうが嬲るは波である。ただその時々に逆らわなければ済む。馴れては波も気にならぬ。波は何物ぞと考える暇もない。なぜ波がつらく己れにあたるかは無論問題には上らぬ。