Clásicos japoneses con furigana
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ちまんだらしちょうぶし
血曼陀羅紙帳武士
国枝 史郎
Lee 血曼陀羅紙帳武士 (ちまんだらしちょうぶし) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 88.970 caracteres · 176 pantallas
でも、それは、この季節らしい柔らかみを帯びた風景として、かえって美しく、万物を受胎に誘う春風の中に、もろもろの香気の籠っているのと共に、人の心を恍惚とさせた。それにも関わらず、薪左衛門ばかりは、ふたたび乱心に落ち入るかのように思われた。振り廻していた天国の剣を、今は額に押し当て、沈痛に肩を縮め、全身をガタガタ顫わせた。
(声の秘密を解かなければならない! どうあろうと解かなければならない!)
その声はまたも岩の下から、いや、岩の下の地の底から、一本の銀の線かのように、土壌を貫き、岩を貫いて聞こえて来た。
「秘密は剖かない! 裏切りはしない! 助けてくれーッ」
(あの声は、渋江典膳の声ではない! しかし典膳と一緒に働いていた男の声だ!)
薪左衛門は呻いた。
栞の発見した物
この頃栞は、林の中を逍遙っていた。
父親の乱心が癒ったことと、恋人の頼母が、今日あたり帰って来るだろうという期待とで、彼女の心は喜悦と希望とに燃えているのであった。
(頼母様といえば、あのお方とはじめてお逢いしたのは、道了様の塚の裾辺りだったっけ)
栞は、過ぐる日、気絶していた頼母を、この手で介抱して、蘇生させたことを思い出した。