Clásicos japoneses con furigana
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ちまんだらしちょうぶし
血曼陀羅紙帳武士
国枝 史郎
Lee 血曼陀羅紙帳武士 (ちまんだらしちょうぶし) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 88.970 caracteres · 176 pantallas
蝦蟇が大きく引く呼吸をするや、空を舞っている蠅が、弾丸のようにその口の中へ飛び込んで行くであろう。ちょうどそのように、頼母は、眼に見えない左門の気合いに誘引せられたのであった。ハッと気付いた頼母は、背後へ引いた。が、次の瞬間には、ヒョロヒョロと、もう二足前へ誘きだされていた。
猛然と頼母は決心した。
(身を捨ててこそ!)
畳の上に敷かれてある紙帳を踏み、例の萼にあたる一点を目ざし、真一文字に突っ込んだ。
グンニャリとした軟らかい物を蹠に感じた。萼が崩れ落ちた。一筋の釣り手が、切って落とされたのである。その背後へ、巨大な丸太がノシ上がった。自分で釣り手を切って落とし、その刀を上段に振り冠り、左門が突っ立ったのであった。闇の夜空を縦に突ん裂く電光の凄さを見よ! 左門は斬り下ろした! 悲鳴が上がって頼母の体が紙帳の上へ仆れた。しかし悲鳴は女の声であった。斬り損じた刀を取り直し、再度頭上へ振り冠った左門の足もとを、坂を転がり落ちる丸太のように、頼母の体が転がり、縁側の方へ移って行った。紙帳の中の、気絶しているお浦の体を踏んだのは、頼母にとっては天祐であった。