Clásicos japoneses con furigana
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あかひげしんりょうたん
赤ひげ診療譚
山本 周五郎
Lee 赤ひげ診療譚 (あかひげしんりょうたん) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 26.416 caracteres · 53 pantallas
二人は下谷の山崎町に家を持ち、佐八は親方の店へ働きにかよった。そうして約一年、穏やかでたのしい日が続いた。――佐八はしんそこおなかが可愛かった。夫婦になるまえよりも、夫婦になってからのほうがずっと可愛く、云いようのないほどいとしい者になった。
「そして丙午の年の火事になりました」と佐八は静かに続けた、「――あれは二月末の昼火事で、下谷一帯から浅草橋まで焼けたものですが、私が金杉の店から駆けつけてみると、うちのあたりはいちめんの火で、近よることもできませんでした」
佐八はそこでまた水をすすった。
彼は気が狂いそうな思いで、おなかを捜し歩いた。そのとき金杉の店も飛び火で焼けたのだが、彼はそれさえも知らなかった。昼間ではあるし若い女一人の身軽だから、まさか焼け死ぬようなことはあるまい、どこかに逃げているのだと信じて、焼け出された人たちの集まっているところを、次から次と捜しまわった。そして明くる日、山谷は焼けなかったので、そこへ訪ねていったが、「おなかは来ない」というだけだった。それまで毎月の仕送りはしていたが、おなかが嫌うので、佐八がその家を訪ねたのは二度めであり、家族の態度は冷淡を極めていた。