Clásicos japoneses con furigana
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あかひげしんりょうたん
赤ひげ診療譚
山本 周五郎
Lee 赤ひげ診療譚 (あかひげしんりょうたん) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 23.548 caracteres · 47 pantallas
登は立って、先に勝手口から出た。
「私も高田屋の松次郎、か」と登は路地へ出てから呟いた、「さぞ高田屋の松次郎だろうさ」
すぐに与平が出て来、続いて松次郎、長次、小助と出て来た。長次は「こちらへ」と云って、路地を奥のほうへと歩きだし、登と他の三人はそのあとからついていった。あたりはもう濃い黄昏に包まれており、長屋のそこ此処に炊ぎの火が見え、煙が巻いている中を、子供たちがやかましく騒ぎながら、どぶ板を鳴らして走りまわっていた。
長屋を出はずれると、一段高くなって空地がある。その向うは崖で、崖の上には武家屋敷があるのだが、下からは見えなかった。およそ五百坪くらいあるその空地は、人間の胸ほども高い枯草に掩われてい、片方によって二本、ひねこびた枝ぶりの松が、哀しげにしょんぼり立っていた。長次はその松の木のほうへ近より、あたりを見まわしながら「この辺です」と松次郎に云った。
「この辺って」と松次郎が訊いた、「なにがこの辺なんだ」
「証拠のある場所です」と長次が云った、「ちょっとこっちへ来てみて下さい」
松次郎は登を見た。登は片手で「どうぞ」というふうに一揖した。