Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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Lee clásicos japoneses en línea con furigana. Filtra por nivel JLPT, toca una palabra para ver el significado y traduce una frase.

どうひょう

道標

宮本 百合子

Lee 道標 (どうひょう) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 846.457 caracteres · 1672 pantallas

Aozora Bunko

「そりゃ、御勝手ですがね」

そりゃ、御勝手ですがね――伸子の防寒靴の下に昼間はゆるみ出した早春のモスク※(濁点付き片仮名ワ、1-7-82)の雪がきしみ、素子のその言葉もきしむ。

ホテル・パッサージの入口のドアの上には、伸子たちがいたころのとおり、紫インクで書いた正餐の献立がはり出されていた。防寒靴をあずかる階下の玄関番が、はじめて見る若い男にかわっている。伸子は赤や緑で小花模様を出した粗末な絨毯の上を事務所へのぼって行った。

事務所の椅子は、ちっとも変っていなくて「五日週間、間断なき週間」と、壁にはり出されているのは、隣りの中央郵便局の内部と同じだった。葡萄色のルバーシカの上に背広の上衣を着た四十がらみの男が事務机の前にいる。それが、もとからいる人かどうか伸子には思い出せないのだった。

伸子は、事務机のこちら側に立った。そして、あっさり切り出した。

「こんにちは」

「こんにちは」

「部屋があるでしょうか」

「いっぱいです」

簡単で、実にはっきりした答えだった。伸子は思わず瞬きした。いまは満員かもしれないけれども、絶えずひとの動いているホテルのことだから、一つの室も決して空かないということはあり得なかった。