Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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どうひょう

道標

宮本 百合子

Lee 道標 (どうひょう) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 846.457 caracteres · 1672 pantallas

Aozora Bunko

「ホウ。――こりゃ、きれいだ」

ロシアの民芸として刺繍は世界に知られていた。色どりも図案も繍いかたも多種多様で、北方地方のものと、ウクライナ辺の作品とでは配色も模様も、全くちがった。

伸子は、ルバーシカ地をひろげた。

「これにしましょうよ、川瀬さん、これはきっと、奥さんに似あうと思うわ、どう?」

ざんぐりした麻の布地に、水色と空色金のようなレモン色、それにところどころ濃いブルーをちりばめて、小花のようにつづいた幾何模様が繍いとりされている。ドイツの女のひとであれば、ゆたかな金髪であろう。そして、川瀬の妻であるひとならば、きっと、さっぱりとした頬の色のひとであろう。そういう金髪と自然な頬の色に、このルバーシカを仕立てて着たら、夏のころには、なかなか眺める川瀬の眼にもたのしかろう。伸子は、そう思って、すすめた。

「だって、誰かが着るために買ったんだろう」

「あながちそうでもないんだから、いいよ。黒い髪よりは金髪のひとが着た方がひき立つ」

「そりゃあそうかもしれないね、この色どりは……」

伸子は布地をひろげて、これはカラーの部分、これはカフス、これは胸前のたての襟になるところ、と、ルバーシカが仕立あがったときの形に、刺繍された布を並べた。