Clásicos japoneses con furigana
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とおくでなるかみなり
遠くで鳴る雷
小川 未明
Lee 遠くで鳴る雷 (とおくでなるかみなり) de 小川 未明 (おがわみめい) en japonés con furigana. JLPT N3. Toca una palabra para ver el significado.
N3 · intermedio · kanji y kana modernos · 2569 caracteres · 6 pantallas
二郎は、ぼんやりとして、夢のように、きゅうりが芽を出したばかりの姿や、やっと竹にからみついて、黄色な花を咲かせた時分を思い出すと、ほんとうにこの実をつるから切り離すのがかわいそうでならなかったのです。
二郎は、チョキンときゅうりをもぎました。そして、それを鼻にあてて匂いをかいだり、もっと自分の目に近づけて、このいきいきとした、とりたての、新しい青い実をながめたのであります。
「お母さん、これをどうして食べるの?」と、二郎はたずねました。
「まあ、みごとな、いい初なりですね。これは食べるのではありません。おまえが、釣りにいったり、泳ぎにいったりするから、水神さまにあげるのです。」と、お母さんはいわれました。
二郎は、それを聞くと、なんだか惜しいような気のうちにも、ひとつのさびしさを感じたのであります。
「水神さまは、きゅうりをたべなさるの?」
「きゅうりは、ぶかぶかと流れて、遠い遠い海の方へいってしまうのですよ。それでもおまえの志だけは、水神さまに通るのです……。」と、お母さんは哀れっぽい声でいわれました。
二郎は、自分の名をそのきゅうりに書きました。きゅうりの青いつやつやとした肌は、二郎の書こうとする筆の先の墨をはじきました。