Clásicos japoneses con furigana
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さけみずく
酒みずく
山本 周五郎
Lee 酒みずく (さけみずく) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 2665 caracteres · 6 pantallas
私はいま二週間以上も酒びたりになっている。いま書いている仕事のためとは云わない、けれどもこの仕事は、半年もまえから計算し、精密なコンティニュイティを作り、それを交響楽と同じオーケストラ形式にまとめあげた。そうして書きだしたのだが、作中の人物は半年以上ものつきあいであり、誰が出て来てもみな古馴染で、小さな疣や痣や、めしの喰べかたや笑い声までがわかっていて、その男、または女の出番になると、うんざりして机の前から逃げだすか、酒で神経を痺れさせるほかはなくなるのである。いろいろ狼狽してみた。三浦半島へいったり、藤沢でだらしない遊びをし、二人の大切な友人に迷惑をかけたり、また華やかな街で五日も沈没したりした。
はたから見れば、これらはたのしい贅沢としかうつらないだろうが、当人は一刻々々が死ぬ苦しみなのだ。声に出して「ああ死んじまいたい」と、のたうちながら喚いたこともあった。
――酒みずく、という吉井勇の歌があった。酒びたりになるほかに、この世に生きている価値はない、というような意味の歌だったと思うが、もちろん正確ではない。違った意味の歌だったかもしれないが、いまの私にはそうとしか思えないし、いまの自分をそっくりあらわしているように思えるのだ。