Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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じゅうきちひょうりゅうきぶん

重吉漂流紀聞

久生 十蘭

Lee 重吉漂流紀聞 (じゅうきちひょうりゅうきぶん) de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 26.456 caracteres · 52 pantallas

Aozora Bunko

なんと、そうではないか」

というなり、重吉のほうへ向きなおって胡坐をかいた。

「さてお船頭、さっき事をわけて話をしたが、今こそ、船頭の義理をしてもらわねばならぬ。わしら二人の命はともかくとして、大恩あるこの船の衆を、海の藻屑にしていいものだろうか。おぬしだからとて、そうまで没義道なことは得しまい」

「話はきいた。すると、それはわしに死ねということなのか」

「死ねとは言わぬ。なんなりとして、この船から離れてもらえばいいのだ」

半兵衛は上眼で重吉の顔を見あげながら、

「重吉ぬし、そなたがこの船から離れてくれれば、わしら二人が海へ投げ込まれずにすむ。聞きにくいところだろうが、あわれと思って聞いて下され、このとおり拝みます」

といって手を合せた。

気先が疎くて察しられなかった。ベケットもエベットも顔にこそは出さないが、そういうことならどんなにか迷惑したこったろう。今日の難船に出逢い、ああいう者どもを救わなかったらと、後悔の臍を噛んでいるのにちがいない。おのれの悪因縁でこの船までが沈むとも思わないが、命を救われた恩義にたいしてもこのままではすまされないと、二人に御判物と御船印を渡して国へ帰った後のことを頼み、そうしておいてベケットのいる高いところへ上って行った。