Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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つげびと

野菊の墓

伊藤 左千夫

Lee 野菊の墓 (つげびと) de 伊藤 左千夫 (いとうさちお) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 34.955 caracteres · 71 pantallas

Aozora Bunko

糟谷は次男芳輔三女礼の親子四人の家族であるが、その四人の生活が、いまの糟谷の働きでは、なかなかほねがおれるのであった。

平顔の目の小さいくちびるの厚い、見たとおりの好人物、人と話をするにかならず、にこにこと笑っている人だ。なにほど心配なことがあっても、心配ということを知っていそうなふうのない人である。

細君はそれと正反対に、色の青白い、細面なさびしい顔で、用談のほかはあまり口はきかぬ。声をたてて笑うようなことはめったにない。そうかといって、つんとすましているというでもない。

それは、前途におおくの希望を持った、若い時代には、ずいぶんいやにすました人だといわれたこともあった。実際気位高くふるまっていたこともあった。しかしながらいまのこの人には、そんな内心にいくぶん自負しているというような、気力は影もとどめてはいない。きどって黙っていた、むかしのおもかげがただその形ばかりに残ってるのだ。

天性陰気なこの人は、人の目にたつほど、愚痴も悔やみもいわなかったものの、内心にはじつに長いあいだの、苦悶と悔恨とをつづけてきたのである。いまは苦悶の力もつきはてて、目に気張りの色も消えてしまった。