Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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ななこ

野菊の墓

伊藤 左千夫

Lee 野菊の墓 (ななこ) de 伊藤 左千夫 (いとうさちお) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 71.271 caracteres · 144 pantallas

Aozora Bunko

いやなことを言われて深田の家を出る時は、なんのという気で大手を振って帰ってきた省作も、家に来てみると、家の人たちからはお前がよくないとばかり言われ、世間では意外に自分を冷笑し、自分がよくないから深田を追い出されたように噂をする。いつのまか自分でも妙に失態をやったような気になった。臆病に慚愧心が起こって、世間へ出るのが厭で堪らぬ。省作の胸中は失意も憂愁もないのだけれど、周囲からやみ雲にそれがあるように取り扱われて、何となし世間と隔てられてしまった。それでわれ知らず日蔭者のように、七、八日奥座敷を出ずにいる。家の人たちも省作の心は判然とはわからないが、もう働いたらよかろうともえ言わないで好きにさしておく。

この間におはまは小さな胸に苦労をしながら、おとよ方に往復して二人の消息を取り次いだ。省作は長い長い二回の手紙を読み、切実でそうして明快なおとよが心線に触れたのである。

萎れた草花が水を吸い上げて生気を得たごとく、省作は新たなる血潮が全身にみなぎるを覚えて、命が確実になった心持ちがするのである。

「失態も糸瓜もない。世間の奴らが何と言ったって……二人の幸福は二人で作る、二人の幸福は二人で作る、他人の世話にはならない」