Clásicos japoneses con furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(三)酒屋火事
野村 胡堂
Lee 銭形平次捕物控(三)酒屋火事 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 146.725 caracteres · 298 pantallas
四
「稲葉屋さんには随分世話になりました。私が元の徳力屋に戻ってあの身上を自分の手に還した上は、少しばかりの古い貸金に棒を引いた上、今入っている家作も差上げ、もう少し資本も廻して上げたいと思っております」
千之助は稲葉屋の極り悪がるのを構わずに、こう言ってのけます。
「それは好い心掛だ。稲葉屋さんも骨折甲斐はあるだろう」
平次は打ち解けた調子でした。この不幸な男を、元の徳力屋の主人の位置に返し、人一人闇の崖から突き落して、口を拭っている悪者を押えることは、平次にとっても、なかなかに意義のある仕事だったに相違ありません。
四
「八、聴いたか」
「ヘエ――」
帰って行く二人の姿、ショボショボと路地の外に消えるのを見ながら、平次はこう言うのでした。
「あれは徳力屋の主人の成れの果とは気の毒だ。なんとかしてやりてえが、――一年前の闇の中で、後ろから突き落した手を調べるのはむつかしい」
「…………」
「第一に証拠というものは一つも残っちゃいねえ。突き落された本人さえ相手の見定めが付かなかったくらいだから、現場の見知り人は一人もねえ」
「なるほど」
ガラッ八の長い顎は動きます。