Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(四)城の絵図面

野村 胡堂

Lee 銭形平次捕物控(四)城の絵図面 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 139.179 caracteres · 280 pantallas

Aozora Bunko

「例えば?」

「町内の独り者は皆んなですよ、ヘエ」

「その中で、親しくしているのはあったはずだが」

「大根畑の専次とか言いましたね、あの生っ白いのが、裏から来て、私の見る前で呼出しの合図なんかしていましたよ、どうせ私は寝たっきりだから、情事とは縁のない世界に住んでいると思ったのでしょう。私などは道傍の地蔵様ほどにも思っちゃいませんでした」

七平の激しい調子には、ひがみがあるのを、平次は聞きのがしません。

「今晩は?」

「あっしは早寝で、戌刻半(九時)には床の中へ潜り込んだくらいですから、うとうとしていて、よくは知りませんが、お祭りの笛だか、口笛だか、聞いたような気がしますよ」

「…………」

「目が覚めたから、ついでに手水に起きて、雨戸をあけると、若い男の後ろ姿が、離室の前を駆けて行ったようでしたが――」

「若い男――?」

「ヘエ、若い男でなきゃ、あんなに早く、跫音も立てずに飛べるわけはありません」

「それは、確かに合図の後だね」

「ヘエ――」

「合図をして娘を呼出すのは、大根畑の専次一人だけだろうな」

「いくら大家の我儘娘でも、まだ十七そこそこですもの、二人も三人も男があるわけはありません」