Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控 鬼の面

野村 胡堂

Lee 銭形平次捕物控 鬼の面 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 130.082 caracteres · 257 pantallas

Aozora Bunko

と、いきなり石を拾って私の小鬢を殴り妹を突き飛ばして、何処ともなく姿を隠してしまいました。

「で、どうしたのだ」

「あんまり腹が立つから五、六間追っ駆けましたが、二人共怪我をして居る上、あっと言う間に十重二十重に弥次馬に取囲まれ、逃げも隠れも、悪者を追うこともならなかったのでございます」

「――」

「何んという因果なことでございましょう。五体満足な男に生れながら、ひ弱く育ったばかりに、親の敵を討つこともならず、敵の姿を見付けると、泥棒猫のように逃げ廻らなきゃならないとは――」

山之助は又も男泣きに泣くのでした。

「親の敵も討ちたかろうが、差し当りこれから、どうする積りだ」

平次は兎も角も、この不運な兄妹を慰める外はありません。

「今からヤットウの稽古をしたところで追っ付かず、それに越中屋の主人の金六は、身動きも自由にならない病人で、たった一人の奉公人の私が、今更見捨てもなりません。そうかと言って、貯えも路用もあるわけは無く、一人の妹を、江戸へ留め置くことも、も一度浜松へ帰す当てもございません」

意気地の無い兄は、泣くより外に術は無かったのです。

妹のお比奈は、兄よりはいくらか気丈らしく、泣きもこぼしもしませんが、まだ身動きするのが痛いらしい、そっと唇を噛んで、美しい眉をひそめるのが、ひどく八五郎を悩ませます。