Clásicos japoneses con furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控
野村 胡堂
Lee 銭形平次捕物控 (ぜにがたへいじとりものひかえ) de 野村 胡堂 (のむらこどう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 157.440 caracteres · 313 pantallas
「まア、極りが悪い」
「――何時か銭形の親分を連れて来て下さい。私は長い間見ぬ恋にあこがれているんですから――って、お前はいったじゃないか」
八五郎はヅケヅケと素ッ破抜きます。
「まア、そんなことを、私はもういや、八五郎親分」
クネクネと身体を揉みながら、女房はそれでも逃げも隠れもせずに、茶などをくんでくれるのでした。
「八、良い加減にして出かけよう」
温い茶を一と口、茶代をぼんの上にのせて、平次は外へ出ました。女房お銀の色っぽさに、少なからず当てられた様子です。
「何処へ行くんです、親分」
「五重の塔だよ」
「ヘエ? 五重の塔へ願でも掛けるんで――」
「間抜けだな、お前は」
「それにしても、あの女は乙でしょう」
八五郎は自分の肩越しに、後にした茶店の柱にもたれて、芝居の幕切れの見得で、此方を見送っているお銀を指さすのでした。
「乙過ぎてお前には毒だよ」
「ヘエ」
「あの鼻声は唯事じゃねえ。あんまり近しくしない方がお為だろうよ」
「へ?」
「不足らしい顔をするな――今に怖い兄さんが、出刄包丁なんか振り廻して飛び出さなきゃいいが」
「そんなものですかね」
「ところで此処が五重の塔だ」