Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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うし

鎧櫃の血

岡本 綺堂

Lee 鎧櫃の血 (うし) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 48.702 caracteres · 99 pantallas

Aozora Bunko

まことにお恥かしい次第ですが、わたくしの叔父というのは箸にも棒にもかからない放蕩者で、若いときから町屋の住居をして、それからそれへと流れ渡って、とうとう左官屋になってしまいました。それでもだんだんに年を取るにつれて、職もおぼえ、人間も固まって、今日ではまず三、四人の職人を使い廻してゆく親方株になりましたので、ここの家へもわたくしの家へも出入りをするようになりました。そういう縁がありますので、わたくし共の家で壁をぬり換える時に、叔父にその仕事をたのみますと、叔父は職人を毎日よこしてくれまして、自分もときどきに見廻りに来ました。そこで、ある日の午飯にうなぎの蒲焼を取寄せて出しますと、叔父は俄に顔の色を変えて、いや、鰻は真っぴらだ。早くあっちへ持って行ってくれというのです。これが普通の職人ならば、うなぎの蒲焼などを食わせる訳もないのですが、職人といっても叔父のことですから、わたくし夫婦も気をつけてわざわざ取寄せて出したのに、見るのも忌だと言われると、こっちもなんだか詰まらないような気にもなります。殊に家内は女のことですから、すこしく顔の色を悪くしたので、叔父も気の毒になったらしく、これには訳のあることだから堪忍してくれ。