Clásicos japoneses con furigana
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ずいひつ しんへいけ
随筆 新平家
吉川 英治
Lee 随筆 新平家 (ずいひつ しんへいけ) de 吉川 英治 (よしかわえいじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 213.575 caracteres · 424 pantallas
他人の旅心地と快い眠りを妨げまいと思い、あたかも枕さがしのごとく、そうと起きては、そうと元の寝床へもぐり込む。
だが、朝はさりげない顔をして、他の四人と共に食膳につく。前夜から扇谷編集長も一しょだった。そして、賑やかな朝飯になり始めると、真っ黒に空が曇って来た。いったい、京都盆地の夕立雲には、一種特有な凄さがある。どう街が近代化されても、依然、四方は山岳だからであろう。絵巻物的な稲妻や雷鳴が連想される暗さなのだ。やがて、窓外の柿若葉に雨ツブの音も荒らかに馳けて来て、どこかへ落ちたような雷が鳴りはためいた。
こうなると、ゆうべからぼくの腹中に鳴っていた雷鳴などは、物のかずではない。ぼくの手にしていた薄手な白磁の茶わんの中に、何かがピカッと光った気がした。箸の先に稲光りが触れたかと思ったほどである。
稲妻や白き茶わんに白き飯
「この句は、どう」咄嗟にぼくがいう。たれも「ふーむ」というだけで感心しない。と、また怖ろしく近いところで、ピカッ、ゴロッと、かみなりの匂いがした。
すると、柿若葉ののぞき下ろせる宿の隣の庭先で、少女の悲鳴が「キャアーッ」と聞こえた。