Clásicos japoneses con furigana
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おんぼうぼり
隠亡堀
国枝 史郎
Lee 隠亡堀 (おんぼうぼり) de 国枝 史郎 (くにえだしろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 4455 caracteres · 10 pantallas
「お主の難病……薬下せえ」
「うんにゃ」
と伊右衛門はかぶりを振った。
「俺は要求を拒否するよ。俺にだって薬は必要だからな」
足を上げて板戸を蹴った。
死骸がバラバラと白骨になった。
「手品としては不味くない。だがね。恐怖を呼ぼうとするには、もう一段の工夫が入る」
突然鬼火が燃え上った。
伊右衛門は刀へ手を掛けた。いやいや抜きはしなかった。
剛悪振りを見せようとして、グイと落差にした迄であった。
「ふんだんに燃やせよ、焼酎火をな」
非常にゆっくりした足取りで、伊右衛門は町の方へ帰って行った。
後はシーンと静であった。
と、堀から人声がした。
「伊右衛門は度胸が据わったねえ」
それは女の声であった。
「困ったものでございます」
それは男の声であった。
板戸の上下で話しているらしい。
お岩と小平の声らしい。
「さあ、是から何うしよう」
「ああも悪党が徹底しては、どうすることも出来ません」小平の声は寂しそうであった。
「恐がらないとは不思議だねえ」お岩の声も寂しそうであった。
水面に板戸が浮かんでいた。
闇が其上を領していた。
死骸の声は沈黙した。
手近で鷭の羽音がした。