Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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おしゃく

雛妓

岡本 かの子

Lee 雛妓 (おしゃく) de 岡本 かの子 (おかもとかのこ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 26.482 caracteres · 53 pantallas

Aozora Bunko

わたくしはむかし逸作がこの料亭での会食以前、美術学校の生徒時代に、彼の写生帳を見ると全頁悉くこの歪んだOの字の蓮の枯茎しか写生してないのを発見した。そしてわたくしは「あんたは懶けものなの」と訊いた。すると逸作は答えた。「違う。僕は人生が寂しくって、こんな楽書みたいなものの外、スケッチする張合いもないのです」わたくしは訊ね返した「おとうさんはどうしてらっしゃるの。おかあさんはどうしてらっしゃるの。そして、ごきょうだいは」逸作は答えた。「それを訊かないで下さい。よし、それ等があるとしたところで僕はやっぱり孤児の気持です」逸作はその孤児なる理由は話さなかったが、わたくしにはどうやら感じられた。「可哀そうな青年」

何に愕いてか、屋後の池の方で水鳥が、くゎ、くゎ、と鳴き叫び、やがて三四羽続けて水を蹴って立つ音が聞える。

わたくしは淋しい気持に両袖で胸を抱いて言った。

「今度こそ二人とも事実正銘の孤児になりましたのね」

「うん、なった。――だが」

ここでちょっと逸作は眼を俯けていたが何気なく言った。

「一郎だけは、二人がいなくなった後も孤児の気持にはさしたくないものだ」