Clásicos japoneses con furigana
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あめしょうしょう
雨瀟瀟・雪解 他七篇
永井 荷風
Lee 雨瀟瀟・雪解 他七篇 (あめしょうしょう) de 永井 荷風 (ながいかふう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 145.414 caracteres · 289 pantallas
聞える声もない。私の目には杉の木がかくも淋しく別れ別れに立っているのは、獄舎の庭では夜陰に無情の樹木までが互に悪事の計画を囁きはせぬかと疑われるので、此くは別々に遠ざけ距てられているのであろうというように見えてなりません。
高い土手が尽きると、狭い往来は急に迂曲した坂になり、片側は私の知らぬ間にいつか金持らしい紳士の新宅になって石垣が高く築かれていますが、その向いの片側は昔から少しも変りのない貸長屋で、下り行く坂道に従って長屋は一軒々々箱を並べたように重っています。後は一面監獄署の土手に遮られているのでこの長屋には日の光のさした事がない。土台はもう腐って苔が生え、格子戸の外に昼は並べた雨戸の裾は虫が食って穴をあけている。いつでもその中の二、三軒には、拙ない文字で貸家札の張られていない事はない。内職の札の下っていない事はない。私は以前よくこの長屋の前を通る時、寒い冬の夕方なぞ、薄暗い小窓の破れ障子に、中なるランプの灯が後毛を乱した女の帯なぞ締め直している薄い影をば映し出しているのを見た事があります。蒸暑い夏の夜には、疎な窓の簾を越してこういう人たちの家庭の秘密をすっかり一目に見透してしまう事がありました。