Clásicos japoneses con furigana
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せいあどうきだん
青蛙堂鬼談
岡本 綺堂
Lee 青蛙堂鬼談 (せいあどうきだん) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 121.438 caracteres · 238 pantallas
その難儀を覚悟で、ふたりは早々に出てゆくと、そのあとで主人の増右衛門は陣屋へ行って、坂部与五郎という人の屋敷をたずねました。兄さんの与茂四郎に逢って、ゆうべはお蔭さまで命拾いをしたという礼をあつく述べますと、与茂四郎は更にこう言ったそうです。
「まずまず御無事で重畳でござった。但し手前の見るところでは、まだまだほんとうに禍いが去ったとは存じられぬ。近いうちには、御家内に何かの禍いがないとも限らぬ。せいぜい御用心が大切でござるぞ。」
増右衛門はまたぎょっとしました。なんとかしてその禍いを攘う法はあるまいかと相談しましたが、与茂四郎は別にその方法を教えてくれなかったそうです。ただこの後は決して蟹を食うなと戒めただけでした。
大好きの蟹を封じられて、増右衛門もすこし困ったのですが、この場合、とてもそんな事をいってはいられないので、蟹はもう一生たべませんと、与茂四郎の前で誓って帰ったのですが、どうも安心が出来ません。といって、どうすればよいということも判らないのですから、家内の者に向ってどういう注意を与えることも出来ない。それでも祖母だけには与茂四郎から注意されたことをささやいて、当分は万事に気をつけろと言い聞かせたそうです。