Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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せいあどうきだん

青蛙堂鬼談

岡本 綺堂

Lee 青蛙堂鬼談 (せいあどうきだん) de 岡本 綺堂 (おかもときどう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 121.438 caracteres · 238 pantallas

Aozora Bunko

たこともない別人であった。そんなはずはないといぶかりながら、あかるい日光のもとで横からも縦からも覗いたが、彼はどうしても赤座ではなかった。

「どういう訳だろう。」

僕は夢のような心持で、その死体をぼんやり眺めていた。勿論、きのうはもう薄暗い時刻であったが、僕をたずねて来た赤座の服装はたしかにこれであった。死体は洋服をきて、靴下に草鞋を穿いているばかりか、谷間で発見した中折帽子までも、僕がきのうの夕方に見たものと寸分違わないように思われた。それでもまだこんな疑いがないでもなかった。登山者の服装などはどの人もたいてい似寄っているから、あるいはきのう僕が見た赤座とは全く別人であるかも知れない。その事実をたしかめるために、僕はなにかの手がかりを得ようとして、死体のかくしをあらためると、まず僕の手に触れたものは皺だらけの原稿紙であった。

原稿紙――それは妙義神社の前で、赤座の指の傷をおさえるために、僕の袂から出してやった原稿紙ではないか。しかも初めの二、三行には僕のペンの痕がありありと残っているではないか。僕は更に死体の手先をあらためると、右の人差指と中指には、摺りむいたような傷のあとが残っている。