Clásicos japoneses con furigana
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かばんのかい
革鞄の怪
泉 鏡花
Lee 革鞄の怪 (かばんのかい) de 泉 鏡花 (いずみきょうか) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 10.394 caracteres · 21 pantallas
――それにいささか疑はない。
が、持主でない。その革鞄である。
三
這奴、窓硝子の小春日の日向にしろじろと、光沢を漾わして、怪しく光って、ト構えた体が、何事をか企謀んでいそうで、その企謀の整うと同時に、驚破事を、仕出来しそうでならなかったのである。
持主の旅客は、ただ黙々として、俯向いて、街樹に染めた錦葉も見ず、時々、額を敲くかと思うと、両手で熟と頸窪を圧える。やがて、中折帽を取って、ごしゃごしゃと、やや伸びた頭髪を引掻く。巻莨に点じて三分の一を吸うと、半三分の一を瞑目して黙想して過して、はっと心着いたように、火先を斜に目の前へ、ト翳しながら、熟と灰になるまで凝視めて、慌てて、ふッふッと吹落して、後を詰らなそうにポタリと棄てる……すぐその額を敲く。続いて頸窪を両手で圧える。それを繰返すばかりであるから、これが企謀んだ処で、自分の身の上の事に過ぎぬ。あえて世間をどうしようなぞという野心は無さそうに見えたのに――
お供の、奴の腰巾着然とした件の革鞄の方が、物騒でならないのであった。
果せるかな。
小春凪のほかほかとした可い日和の、午前十一時半頃、汽車が高崎に着いた時、彼は向側を立って来て、弁当を買った。