Clásicos japoneses con furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Lee 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 12.494 caracteres · 26 pantallas
「お蒸物は?」
「豆腐蒸と行きましょうか。ごくごくの淡味にして、黄身餡をかけてもらいましょう。焼物は、魴の南蛮漬。口がわりは、ひとつ、手軽に、栗のおぼろきんとんに青柳の松風焼。……まア、だいたい、これくらいにして、後はおいおい、そのつど追加するとし、とりあえず、いま言った分だけをここへずらずらッと並べていただきましょう」
小波は、改まった会釈をしてひきさがって行ったが、間もなく、爪はずれよく足高膳に錫のちろりをのせて持ちだし、つづいて、広蓋に小鉢やら丼やら、かずかずと運んで来て膳の上にならべる。
顎十郎は呆気にとられ、
「これはどうも、まさに即意当妙。こうまで水ぎわだっていようとは思わなかった。こういう芸当を演じるには莫大な無駄と費用がかかるもの。うすうすは察していたが、小波さん、あなたの殿様てえひとは、よほど派手な方とみえますな。贅沢といっても、これほどのことはなかなか出来にくい。お留守居にはずいぶん通人も多いが、ちょいとこいつは桁はずれ。まったく、感じ入りました」
小波は、愛らしくうなずいて、
「殿様は能登様の御勘定役。また、奥様のお実家は江戸一のお札差の越後屋。