Clásicos japoneses con furigana
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あごじゅうろうとりものちょう
顎十郎捕物帳
久生 十蘭
Lee 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 12.494 caracteres · 26 pantallas
ところで、この件は、おれにとっちゃ天の助け。なにしろ、ああいう変った匂いだから、なんとか藤波をだまくらかして、お調べを半日ほど引きのばさせ、五十八香木を取りよせて、ここでいちいち聴きわけたら、なんとか筋道がつくかも知れない。……しかし、考えてみりゃア、こんどぐらい馬鹿な目にあったことはない。食い意地の張ってるのは生れつきだが、うっかり食い気を出したばっかりに、おれともあろうものがマンマとはめられてカラだらしのねえ有様。まア、しかし、おれの弱点をついて、洒落た手紙でおれを釣りよせるなんてえのは、敵ながら天晴れ。手ごわいおれを金蔵破りのぼくよけにして、ついでにしくじらせてしまおうという一石二鳥。じつに恐れ入ったもんだよ。まアまア、見てるがいい。たとえ骨が舎利になっても、この仕返しはしねえじゃおかねえから」
と言ってるところへ、牢格子のむこうへ二三人の足音。
「噂をすれば影。ひとつ殊勝らしく持ちかけて、こっちの思いなりにさせてやろう」
急に坐りなおして、殊勝らしく首を垂れているところへ、海老錠をはずし、ドンと潜り格子をついて入って来たのが、お待ちかねの藤波友衛。