Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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あごじゅうろうとりものちょう

顎十郎捕物帳

久生 十蘭

Lee 顎十郎捕物帳 (あごじゅうろうとりものちょう) de 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 15.028 caracteres · 30 pantallas

Aozora Bunko

菰の上へかけ碗をおいて、青っ洟をすすりすすり、親父といっしょに、間がなしにペコペコと頭をさげている。

いわゆる非人やけというやつで、顔色がどす黒く沈んで、手足が皹だらけ。荒布のようになった古布子をきて、尻さがりに繩の帯をむすんでいる。どう見たって腹っからの乞食の子だが、することがちょっと変っている。通りすがりに一文、二文と、かけ碗のなかへ鳥目を落すひとがあると、妙に鼻にかかった声で、

「おありがとうございます」

といいながら、指先で鳥目をつまんでは、そっと草むらへ捨てる。かくべつ目立たないしぐさだが、いかにも異様である。

顎十郎は橋のたもとに突っ立って、ひと波に揉まれながら、ジッとその様子を眺めていたが、ふっとひとり笑いすると、

「なるほど、あれが源次郎さまか。……多分こんなことだろうと、最初っから睨んでいた通り、こんなところで乞食の真似をしている。……それにしてもよく化けたものだ。白痴づらに青っ洟、これが十二万五千石のお世つぎとは、誰だって気がつくはずはあるまい。『すさきの浜』の故事といい、乞食じたての手ぎわといい、察するところ、萩之進というやつは、年は若いが、よほどの秀才と見える。